「元彼の遺言状」という作品で「このミステリーがすごい」大賞を受賞した作者の2作目。
弁護士の資格をもつ作者が、弁護士を主人公に、法律事務所を舞台にして描いている。
病院で診察を待つ間に読みました。
物語の面白さは主人公の魅力に左右される
1作目の主人公だった剣持麗子が脇役に回り、なんとなくいじけた性格の美馬玉子が主人公。
1作目は読んでないのだが、剣持はきりっとした強い輝きを放つキャラクターなので、それだけで物語を引っ張る力があっただろうと想像される。
この作品の主人公美馬は、ずっと男性にどう見えるかばかりを気にしていて、読んでいてもやもやしてくる。
うーん、そんな小さいことで悩む主人公って求めてないんだよなあ。。。
たぶん、そういう悩みからの脱却も、もう一つのテーマとしてあるんだろうけど、男性にもてるかもてないかという思考回路と付き合い続けるのは、退屈というしかない。
あらすじ、それにしても不自然な事件
主人公が所属する弁護士事務所に、「会社を潰そうとしている社員がいる」という通報を調査する依頼が来る。その近藤という経理課の社員は、以前いた会社が3回連続で倒産しており、現在の会社も倒産の危機にあった。
調べにいくと、首切り部屋と呼ばれる会議室で実際に首を切られた死体が発見される。
犯人は誰なのか、近藤は本当に会社を潰して回っているのか、という話です。
出てくる死体は一つですが、作者としては倒産も会社の死、として死の一つに数えてます。
弁護士だとそういう感覚になるのかも。
だから連続殺人と同じくらいすごい犯罪なのよ!
と言いたいのであろうかと想像しますが、
倒産って世の中にいっぱいあるしねえ・・・
普通の感覚からしたら、事件とはいいがたい。
当事者だったら大事件でしょうけど。
解決しても爽快感がない
最後に一応動機のようなものが明らかにされるけど、いまいち納得がいかない。
正直にいうと、そんなことでそこまでしますか?
という感覚になってしまう。
いやどう考えても自分だったら無理だと思うな。
それでも最後まで読めたのは、病院の待ち時間があまりに長かったから、
というのが一番大きいかもしれない。
あとはシマおばあちゃんが食べる干し柿がおいしそうだったからかなあ。