もこまる諸行無常なブログ

明るいけど頑固なところもある母、アスペルガー症候群の父、難病もちの私の3人家族です

「私立探検家学園2 あなたが魔女になるまえに」斉藤倫著

あらすじ

小学5年生の松田マロンは突然私立探検家学園に転校。
正解のない問題について学んでいく。
冬休みが終わって、2回目の実習。
今度のミッションは「マンドラゴラを探せ!」
不思議な乗り物に乗って、
言葉も時代も違う世界での冒険が始まる

魔女という言葉の意味するもの

「あなたが魔女になるまえに」というのがこの本のサブタイトルである。

ファンタジーの世界における魔女は、

特別な力を持って戦うことができる。

でもこの物語に出てくるミーナは、

人より植物の知識があるだけの、

森に住むお医者さん。

なぜ人のために生きる彼女を魔女と呼ぶ者が現れたのか。

それは、彼女がもつ人々からの尊崇と、森という財産を奪うため。

魔女にしてしまえば、相手から何でも奪い取れる。

男性が女性からすべてを取り上げる卑劣な搾取の方法だ。

探検家という侵略者

宗教家としてやってきたグレイザー師たちも、

一種の探検家だ。

新しく別の土地からやってきて、

その土地から得られる富を奪おうとする。

探検家とは、かっこいいだけじゃなく

侵略者という側面もあるということに気づかされる。

「私立探検家学園」が教えたいこと

外の世界からやってきた人を

温かく迎えた人々の文化が滅亡させられた、

なんていうのは歴史上何度もあった。

マロンたちに親切にしてくれる人々を良い人と感じる一方で、

よそ者を徹底的に排除する姿勢もまた

自分たちを守るための正義なのだと思わざるを得ない。

リアルな歴史観に基づいた探検の物語の後味は悪い。

探検家学園が教えたいことは、侵略者になるな、という方向ではあるんだろう。

歴史を変えることはできないけれど、

未来を託す探検家には良心を忘れないでほしい。

そんな願いを感じる本だった。